【カバとは】
サモアのカバは動物(どうぶつ)のカバとはちがい。実は植物(しょくぶつ)です。コショウ科の草木(くさき)で、その根を乾燥(かんそう)させて石の臼(うす)で細(こまかく)かくくだき、それをタノアと呼(よ)ばれる大きな木鉢(きばち)の中で、水を混(ま)ぜて作る飲み物です。カバは薄茶色(うすちゃいろ)ににごった泥水(どろみず)のように見え、飲むとベロの先(さき)にピリッと感じる。また麻薬(まやく)の原料(げんりょう)になる「アルカロイド」を含(ふく)み、気持(きもち)を落ち着かせる作用(さよう)がある。ただし、習慣性(しゅうかんせい)はないので安心(あんしん)して飲める。
【いつするの】
サモアの伝統的(でんとうてき)なぎしきです。サモアは村社会でそれぞれの村に酋長(しゅうちょう)さんがいます。酋長さんの会議や村の外からお客さんがくる場合(ばあい)、歓迎(かんげい)はまずカバのぎしきから始(は)まります。酋長たちが丸(まる)くなってあぐらで座(す)り、カバが用意(ようい)される間(あいだ)に、まずその日の議長(ぎちょう)を選ぶためのえんぜつやお客人の歓迎のえんぜつがが続(つづ)き、ひといきついたところで、カバの儀式が始まります。お客さんや身分(みぶん)の高い酋長から順番(じゅんばん)に大きな声で名前が呼ばれ、ヤシのコップでカバが配(くば)られる。順番が回ってきたら、「マヌイヤ(乾杯)」といって一気(いっきに)に飲む。